成果報告書

平成27年度 共同利用・共同研究 成果報告書

  1. 課題番号:共2015-01
    電池に用いるカーボン系複合材料の構造評価
  2. 課題番号:共2015-02
    DNA損傷応答における新規細胞周期チェックポイントメカニズムの解明
  3. 課題番号:共2015-03
    アクチニド含有溶融塩のEXAFS構造解析
  4. 課題番号:共2015-04
    大気圧非平衡マイクロ波ミニプラズマの発光分光計測
  5. 課題番号:共2015-05
    ジルカロイ再生のための溶融塩電気化学基礎研究
  6. 課題番号:共2015-06
    大型トカマクにおけるNBIと核融合反応同時加熱時の高エネルギー粒子のOFMCコードによる非定常解析
  7. 課題番号:共2015-07
    熱中性子挙動の解明に関する研究: 多結晶黒鉛における散乱モデルの高度化
  8. 課題番号:共2015-08
    新規リン酸化状態特異的抗体を用いた放射線感受性・癌擢患性予測法の開発
  9. 課題番号:共2015-09
    DNA損傷修復タンパク質リン酸化によるDNA修復,細胞死の制御
  10. 課題番号:共2015-10
    ウラン選択的分離を可能とする有機・無機層状ナノハイブリッド材料の創製
  11. 課題番号:共2015-11
    陽子線誘起生体関連分子生成実験のための低温模擬タイタン大気ターゲットの開発
  12. 課題番号:共2015-12
    Al4SiC4を焼結助剤とした炭化ケイ素セラミックスの焼結性及びその特性評価
  13. 課題番号:共2015-13
    配向性セラミックスの中性子耐照射性に関する研究
  14. 課題番号:共2015-14
    制御棒吸収材料B4Cの物性研究
  15. 課題番号:共2015-15
    タンデム加速器用冷陰極PIG負イオン源の最適動作条件
  16. 課題番号:共2015-16
    高温ガス炉の3S特性に関する研究
  17. 課題番号:共2015-17
    迅速・簡便なアクチノイド計測のためのマイクロ固相抽出・分析システムの構築
  18. 課題番号:共2015-18
    レーザー加速イオンビーム計測に向けたRCFの線量校正
  19. 課題番号:共2015-19
    注射針型陽子線励起単色X線源と増感剤を用いた高選択性ガン治療の研究
  20. 課題番号:共2015-20
    鉛ビスマス組成変化時の化学挙動と材料共存性に関する研究

課題番号:共2015-01

研究代表者: 加藤之貴
研究分担者(所属): 石飛宏和(群馬大学・大学院理工学府・助教),中川紳好(群馬大学・大学院理工学府・教授)・高須大輝(原子核工学専攻・修士2年(平成27年度))
研究課題名: 電池に用いるカーボン系複合材料の構造評価
研究期間:

平成27年 4月 1日 ~ 平成28年 3月 31日

抄録:

前年度までの共同研究により,燃料電池の複合触媒を多孔化させて,電極反応速度を向上した.本年度は,燃料電池やレドックスフロー電池の電極材であるカーボンナノファイバーについて,賦活条件を制御することにより細孔分布や表面の官能基が電極触媒活性に与える影響を調べた.酸素濃度および賦活温度が一定以上に高い条件の場合,燃料電池もしくはレドックスフロー電池の反応速度が低下した.電極材中の細孔の合一や表面官能基密度が過剰になることによる副反応が示唆される.

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課題番号:共2015-02

研究代表者: 島田幹男
研究分担者(所属): 安原 崇哲 (東京大学医学系研究科 疾患生命工学センター)
研究課題名:

DNA損傷応答における新規細胞周期チェックポイントメカニズムの解明

研究期間: 平成 27年6月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 放射線によって生じるDNA損傷は直ちに修復されないと細胞死や発がんの原因となりうる。そのためDNA修復機構の解明は放射線に対する防護やがん治療に寄与する為に重要であるが、その分子メカニズムは複雑に制御されており、特にDNA損傷時における細胞周期チェックポイントのバランスと制御の機構は不明な点が多い。本研究ではノックアウト細胞の作製やリン酸化抗体を用いたウエスタンブロッティング法や免疫染色法によりDNA損傷応答機構の解析を実施した。

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課題番号:共2015-03

研究代表者: 赤塚 洋
研究分担者(所属):

赤塚 洋(原子炉研・准教授),根津 篤(技術部・技術専門員), 武田 遵(大学院総理工・M2),松浦治明(東京都市大学・工学部原子力安全工学科・准教授),岡田往子(東京都市大学・原子力研究所・准教授),内山孝文(東京都市大学・原子力研究所・技士),竹野竜平(東京都市大学・大学院工・M2),村上公一(東京都市大学・大学院工・M2),今川峻(東京都市大学・大学院工・M2),大野貴裕(東京都市大学・大学院工・M1),梶本雅俊(東京都市大学・工・B4),坂根侑(東京都市大学・工・B4),佐藤瞬(東京都市大学・工・B4),三善真秀(東京都市大学・工・B4),檜垣孝輔(東京都市大学・工・B4),Catherine Bessada(CNRS・CEMHTI・所長),Didier Zanghi(CNRS・CEMHTI・研究技師),Mathieu Gibilaro(ポールサバティエ大学・講師)

研究課題名: アクチニド含有溶融塩のEXAFS構造解析
研究期間: 平成27年6月27日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 乾式再処理や溶融塩炉、さらに近年では燃料デブリの処理処分の一方策として、溶融塩を媒体とするプロセスが提案されており、本グループでは、その構造モデル構築のための生の情報を取得するために、種々の元素が組み合わされた溶融塩に対して、系統的に広域X線吸収微細構造法を用いた解析を実施した。本研究では、特にフランスCNRSとも共同で、ウランやトリウムフッ化物を含有する高温EXAFS実験によって、種々の組成の塩中における、ウランないしはトリウム近傍の配位構造を評価した。

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課題番号:共2015-04

研究代表者: 赤塚 洋
研究分担者(所属): 赤塚 洋(原子炉工学研究所・准教授),根津 篤(技術部・技術専門員),湯地敏史(宮崎大学)
研究課題名: 大気圧非平衡マイクロ波ミニプラズマの発光分光計測
研究期間: 平成27年8月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

大気圧非平衡プラズマでは,ラジカル密度を高めることでプロセス効率向上を図るべく,放電気圧の高い大気圧非平衡プラズマ生成と応用に関する研究開発が盛んに行われている。この際に,従来の低気圧放電とは異なり,基板やプロセス物質への熱的な影響が無視できず,プロセス制御上,ガス温度が注目されている。このような要求に対して,並進温度の近似値として回転温度を求めるという手法が利用されている。通常の可視・紫外域の発光分光計測(OES)法では,分子の電子状態が変化する際のスペクトルが計測されるが,この際に,振動状態も回転状態も変化しうる。そこで本研究では,OES法を用いることで,各プラズマ発生条件におけるプラズマミニトーチの放電形態において,振動及び回転温度を算出したので報告する。

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課題番号:共2015-05

研究代表者: 相楽 洋
研究分担者(所属): 松浦治明(東京都市大学・工学部原子力安全工学科・准教授)、岡田往子(同大学・准教授)、内山孝文(同大学・原子力研究所・技士),江森達也(同大学・B3),中村建翔(同大学・B3)
研究課題名: ジルカロイ再生のための溶融塩電気化学基礎研究
研究期間: 平成27年7月6日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

現在使用済み燃料を再処理することによって生じた被覆管の重量は高レベル放射性廃液の数倍にものぼり、その環境負荷低減は重要な課題である。使用済みジルカロイからウランや放射化物を除染し、ジルコニウム金属として再生リサイクル利用する一つの方法として、溶融塩電解法の適用を模索し、種々の溶融塩浴中でのジルコニウムや、その他の共存元素の基礎的な電気化学特性の調査を行った。また、ジルカロイ再生の効果を放射化・燃焼解析により示した。

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課題番号:共2015-06

研究代表者: 筒井広明
研究分担者(所属): 篠原 孝司(原子力機構),飯尾 俊二(東工大),谷 啓二(東工大)
研究課題名: 大型トカマクにおけるNBIと核融合反応同時加熱時の高エネルギー粒子のOFMCコードによる非定常解析
研究期間: 平成27年4月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

核融合炉では多種の高エネルギー粒子によるプラズマの同時加熱が起こり、加熱パワー分布等の評価が重要になる。軌道追跡モンテカルロコード(OFMC)コードを改良し球状トーラス装置MASTの実験データと比較することで、その有用性を実証するとともに、計算速度の並列化による計算の速度化が実現できた。

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課題番号:共2015-07

研究代表者: 西山 潤
研究分担者(所属): 原野英樹(産総研),松本哲郎(産総研),増田明彦(産総研)
研究課題名: 熱中性子挙動の解明に関する研究:多結晶黒鉛における散乱モデルの高度化
研究期間: 平成27年7月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 原子力及び放射線応用の分野において、減速体系で生成される熱中性子挙動を正確に把握することは測定と安全管理の高精度化の点で重要である。特に黒鉛のように結晶構造を持つ物質では、原子の規則性を持った配列と原子間の結合が中性子散乱反応に大きく影響を及ぼしている。産業技術総合研究所において黒鉛パイルとAm-Be, Cf-252中性子線源を用いた熱中性子減速場における熱中性子の詳細測定とモンテカルロシミュレーションにより熱中性子散乱モデルなどによる差異の定量評価を行った。

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課題番号:共2015-08

研究代表者: 松本義久
研究分担者(所属):

島田 幹男,福地 命, Rujira Wanotayan(原子炉研),染谷 正則,坂田 耕一(札幌医大・医・放射線医学)

研究課題名: 新規リン酸化状態特異的抗体を用いた放射線感受性・癌罹患性予測法の開発
研究期間: 平成27年7月16日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

DNA二重鎖切断(DSB)は放射線によって生じる様々なDNA損傷の中で最も重篤であり、癌放射線治療の成否の鍵を握る。DNA-PKはDSBの修復において、センサーとして働く重要な分子である。本研究は、松本研究室で作製された抗体(XRCC4 Ser320リン酸化状態特異的抗体、α-XRCC4-PS320)を用いた新たなDNA-PK機能評価法を開発することを目的として行った。本年度は、XRCC4およびKu86(DNA-PKの一構成成分)の発現と子宮頸癌の術前照射の効果の間に相関を見出した。

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課題番号:共2015-09

研究代表者: 松本義久
研究分担者(所属):

島田 幹男,福地 命, Rujira Wanotayan(原子炉研), 岩淵 邦芳,砂谷 優実(金沢医大・医・生化学Ⅰ)

研究課題名: DNA損傷修復タンパク質リン酸化によるDNA修復、細胞死の制御
研究期間: 平成27年7月16日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

我々は、本研究に先立ち、DNA二本鎖切断修復タンパク質XRCC4の新規機能解析を共同して行い、XRCC4がDNA修復のみならずアポトーシスによる細胞死をも制御するという研究結果を得た。本研究では、XRCC4の機能を制御するリン酸化修飾に注目し、リン酸化状態特異的に反応する抗体、リン酸化部位変異体を用いた解析を行った。本年度はXRCC4の新たなリン酸化状態特異的抗体とXRCC4欠損ヒト細胞の作製を行った。さらに、アポトーシスにおいてDNAを切断する酵素CAD、CADの制御因子ICAD、ICADのスプライシング因子SRSF1に関する検討を行った。

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課題番号:共2015-10

研究代表者: 塚原剛彦
研究分担者(所属): 井戸田 直和(早稲田大学・理工学術院総合研究所 各務記念材料技術研究所)
研究課題名: ウラン選択的分離を可能とする有機-無機層状ナノハイブリッド材料の創製
研究期間: 平成27年7月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 本研究では、従来法よりも高効率かつ安価に海水中からウランを回収しうる「有機-無機層状ナノハイブリッド材料」の創製を目的とした。具体的には、層状ペロブスカイトの層間にウラン選択能を有する温度応答性高分子が固定化された新しい有機-無機層状ナノハイブリッド材料を創製すると共に、温度変化のみでウランの吸・脱着制御を実現した。

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課題番号:共2015-11

研究代表者: 小栗慶之
研究分担者(所属): 近藤康太郎(東工大原子炉),福田一志(東工大技術部),小林憲正(横国大院工),阿部仁美(横国大院工)
研究課題名: 陽子線誘起生体関連分子生成実験のための低温模擬タイタン大気ターゲットの開発
研究期間: 平成27 年7 月1 日 ~ 平成28 年3 月31 日
抄録: 土星の衛星であるタイタンの大気を模擬したガス標的に陽子線を照射し,反応生成物の中から生体関連分子を探索する実験を計画中である.タイタンの気温は100℃以下であるが,当面の目標としてドライアイス温度(-79℃)まで冷却できる低温ターゲットの設計,試作を行った.設計通りに組立てまで完了したが,ドライアイス充填中にガスを封入するガラス容器の一部が破損したため,現在までに温度分布測定には至っていない.

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課題番号:共2015-12

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属): 矢野 豊彦(東工大・原子炉研),西村 聡之(物質・材料研究機構)
研究課題名: Al4SiC4を焼結助剤とした炭化ケイ素セラミックスの焼結性及びその特性評価
研究期間: 平成27年 7月 10日(採択日) ~ 平成28年 3月31日
抄録: 3元系化合物は、金属とセラミックスとを組み合わせた特徴を有するユニークな材料であり、高強度、高い電気伝導性及び熱伝導性、優れた耐食性、耐熱性,耐熱衝撃性及び機械加工性等の特性を有する。一般的に、3元系化合物の単相を合成することは難しく、Al4SiC4粉末の合成プロセスを検討する必要がある。本研究ではAl、Si、Cからなる3元系化合物Al4SiC4に注目し、Al4SiC4粉末の合成プロセスについて検討した。

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課題番号:共2015-13

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属): 矢野 豊彦(東工大・原子炉研),鈴木 達(物質・材料研究機構)
研究課題名: 配向性セラミックスの中性子耐照射性に関する研究
研究期間: 平成27年7月10日(採択日)~ 平成28年3月31日
抄録:

物質の諸特性は、結晶面や軸方位により異なる場合が多く、多結晶体における個々の結晶方位を揃えたりするなどの配向制御は近年特に注目されている組織制御手法の一つである。本研究では、照射前試料の検討としてSPSにより作製したAlNにおいて、強磁場配向によるc軸配向とCaF2添加量が熱伝導率に及ぼす影響を検討した。また、熱処理を行うことで熱伝導率の向上を試みた。

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課題番号:共2015-14

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属):

矢野 豊彦(東工大・原子炉研),You Yan(東工大院・原子核工学専攻),前田 宏治(JAEA),井上 利彦(JAEA),関尾 佳弘(JAEA),佐々木 新治(JAEA),勝山 幸三(JAEA)

研究課題名: 制御棒吸収材料B4Cの物性研究
研究期間: 平成27年 7月 10日(採択日)~ 平成28年 3月31日
抄録:

高速炉用制御材として炭化ホウ素(B4C)ペレットが用いられている。高速炉の安全性を維持するためには、制御材の安全性を維持することが重要であり、B4Cペレットの中性子照射挙動を十分理解することが必要となる。本研究では実際に高速実験炉「常陽」内で中性子照射したB4C高速炉用制御材の微構造評価を行い、中性子照射による微構造変化を明らかにすることを目的とした。また、密度汎関数法(DFT)による理論計算を行い、結晶内に生成した欠陥について実験結果と併せて検討した。

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課題番号:共2015-15

研究代表者: 近藤康太郎
研究分担者(所属):

羽倉 尚人(東京都市大学),小栗 慶之(東京工業大学), 福田 一志(東京工業大学)

研究課題名: タンデム加速器用冷陰極PIG負イオン源の最適動作条件
研究期間: 平成27年7月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 一昨年度,設計の改良により小型で軽量なPIGイオン源が完成した.不純物イオンの影響を無視すれば,10 nA程度のイオンビーム電流を得ることが確認されたものの,放電安定化の課題があった.そこで昨年度は,放電プラズマ抵抗と同程度の50 kΩの抵抗を放電回路に直列に接続し,放電の安定化を図った.また放電容器内に印加した磁場および水素初期圧力を変化させながら,ビーム電流が最大となる条件を明らかにした.

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課題番号:共2015-16

研究代表者: 相楽 洋
研究分担者(所属): 大橋弘史(日本原子力研究開発(原子力機構)・原子力科学研究部門高温ガス炉水素・熱利用研究センター小型高温ガス炉研究開発ユニット・安全設計グループリーダー)、佐藤 博之(同・研究副主幹)、青木健(東工大原子核工学専攻D1)
研究課題名: 高温ガス炉の3S特性に関する研究
研究期間: 平成27年5月16日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力安全のみならず,核不拡散,物理的防護を加えた3S(Safety,Security,Safeguards)に関するリスクが改めて認識されている。本共同研究では,高い固有の安全特性を有する高温ガス炉の3S特性の定量化を目的として,H27年度は,H26年度に開発した核不拡散性の評価手法を更に改良し高温ガス炉システムに存在する様々な核燃料物質に当てはめたケーススタディを実施した。また、安全性の定量化を目的に、高温ガス炉の減圧事故時における燃料温度挙動等について解析的な検討を行った。

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課題番号:共2015-17

研究代表者: 塚原剛彦
研究分担者(所属): 北辻章浩,北辻章浩,青柳登(日本原子力研究開発機構・原子力科学研究部門原子力基礎工学研究センター)
研究課題名: 迅速・簡便なアクチノイド計測のためのマイクロ固相抽出・分析システムの構築
研究期間: 平成27年7月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録:

迅速・簡便なアクチノイド分離分析法の構築を目指し、抽出クロマトグラフィー機能のマイクロ化学チップへの集積化を試みた。具体的には、半導体加工技術を駆使してダム構造を持つガラス製マイクロ流路を加工すると共に、そのダム構造内にウラン(U)やランタノイド(Ln)等に親和性のある樹脂を充填する手法を確立した。作製したマイクロ流路にLnを含む硝酸水溶液を導入し、これらイオンの吸着・脱離試験及びICP-MSによる濃度評価を実施した結果、Lnイオンの選択的な分離が可能であることが分かった。

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課題番号:共2015-18

研究代表者: 近藤康太郎
研究分担者(所属):

有川 安信(大阪大学),小栗 慶之(東京工業大学), 福田 一志(東京工業大学)

研究課題名: レーザー加速イオンビーム計測に向けたRCFの線量校正
研究期間: 平成27年8月1日 ~ 平成28年3月31日
抄録: 高速点火方式の課題である爆縮コアへの加熱効率の向上に向けて,現在レーザー加速によるイオンビームの利用が検討されている.本研究はレーザー加速イオンビームの線量分布計測で使用されるRadiochromic film (RCF) をタンデム型静電加速器から出射されるエネルギーが定義されたイオンビームを用いて校正することを目的とした.イオンビーム照射時間を変更しながら,3 MeVの陽子ビームをRCFに照射した.各照射点でのRCFカウントを読み取ることで,各カウントに対する線量値の関係が得られた.

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課題番号:共2015-19

研究代表者: 小栗慶之
研究分担者(所属):

:近藤康太郎(東工大原子炉),福田一志(東工大技術部),胡宇超(東工大原子炉),羽倉尚人(都市大工),菊地太輔(都市大工)

研究課題名: 注射針型陽子線励起単色X線源と増感材を用いた高選択性ガン治療の研究
研究期間: 平成27年12月1日~平成28年3月31日
抄録: 注射針型MeV陽子線励起単色X線源とナノ粒子増感材を用いた選択的ガン治療技術の実現可能性を調べるため,一次単色X線(Mo-KX線)のエネルギー(17.4 keV)の前後にK吸収端を持つ二種類の増感材元素(Y,Zr)を用いて実験を行い,その性能を比較した.いずれの場合も増感材の周りで二次電子放出による高い線量が見られ,期待した増感効果が確認できた.しかし,両者による効果の定量的な違いは確認できなかった.

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課題番号:共2015-20

研究代表者: 近藤正聡
研究分担者(所属):

大久保成彰(JAEA), 入澤恵理子(JAEA),小松篤史(JAEA),高橋実(東工大)

研究課題名: 鉛ビスマス組成変化時の化学挙動と材料共存性に関する研究
研究期間: 平成27年11月1日~ 平成28年3月31日
抄録:

鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、高速炉の冷却材や加速器駆動型システムのターゲット材として期待されている。本研究の目的は、大気進入事故時のような酸化環境におけるLBEの組成変化や化学的挙動を明らかにすることである。高温の大気環境化において様々な組成の鉛ビスマス合金の酸化試験を実施した。LBEの酸化時には、複数の層から構成される酸化皮膜が形成されることがラマン分光分析によりわかった。酸化により合金内からPbが失われ共存性が低下する可能性が示唆された。