成果報告書

平成29年度 共同利用・共同研究 成果報告書

  1. 課題番号:共2017-01
    レーザー駆動中性子源による核データ計測の可能性
  2. 課題番号:共2017-02
    統計模型に基づく核分裂即発中性子放出機梢の研究
  3. 課題番号:共2017-03
    反対称化分子動力学による核データの研究
  4. 課題番号:共2017-04
    高エネルギー粒子閉じ込めの有限ラーマー半径効果の解析
  5. 課題番号:共2017-05
    強磁性体存在下における3次元安定平衡配位の実現と制御
  6. 課題番号:共2017-06
    クロマチン免疫沈降シークエンス法を用いた放射線照射後の遺伝子発現変動の解析
  7. 課題番号:共2017-07
    放射線によって誘発されるDNA損傷応答分子ネットワークの理解と制御
  8. 課題番号:共2017-08
    制御棒吸収材料B4Cの物性研究
  9. 課題番号:共2017-09
    Al4SiC4を焼結助剤とした炭化ケイ素セラミックスの焼結性及びその特性評価
  10. 課題番号:共2017-10
    配向性セラミックスの中性子耐照射性に関する研究
  11. 課題番号:共2017-11
    高い比表面積を有するオニオンライクカーボンの合成及び特性評価
  12. 課題番号:共2017-12
    ホウ素中性子捕捉療法のリアルタイム線量評価に向けたコンプトンイメージング技術の開発
  13. 課題番号:共2017-13
    交流OHコイル通電によるトカマクの直流電流駆動
  14. 課題番号:共2017-14
    タンパク質2次構造の動的変化によるDNA 二重鎖切断修復の制御機構の解析
  15. 課題番号:共2017-15
    抽出クロマトグラフィー用段着材の化学的安定性の検討
  16. 課題番号:共2017-16
    耐放射線性マイクロ流路表面の構築と金属イオン分離への応用
  17. 課題番号:共2017-17
    高温ガス炉の核不拡散性及び安全性の定量化に関する研究
  18. 課題番号:共2017-18
    真空アーク放電における電流遮断時の不安定現象の解析
  19. 課題番号:共2017-19
    制動放射線を用いた粒子線がん治療用粒子線モニターの基礎的研究
  20. 課題番号:共2017-20
    高速炉サイクルシナリオによるTRU物質収支と核不拡散性への影響に関する研究-燃焼遷移行列を用いた物質収支解析精度向上方策一
  21. 課題番号:共2017-21
    自励誘導発電機を用いたトロイダル磁場コイル電源設計のための予備実験
  22. 課題番号:共2017-22
    ランジュバン模型による荷電偏極の定量的評価手法の開発
  23. 課題番号:共2017-23
    希土類元素の糸状菌による取り込み機構の解明研究
  24. 課題番号:共2017-24
    アミド系抽出剤を用いたマイナーアクチノイドと希土類の分離に関する研究
  25. 課題番号:共2017-25
    高周波電子銃共同研究拠点形成のためのフィージビリティ研究
  26. 課題番号:共2017-26
    重粒子線がん治療装置用次世代型イオン源・入射器の開発

課題番号:共2017-01

研究代表者: 千葉 敏
研究分担者(所属): 河野俊彦(ロスアラモス国立研究所)早川岳人(量研)
研究課題名: (和文)レーザー駆動中性子源による核データ計測の可能性
(英文)Possible measurements of nuclear data using laser based neutron sources
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 高強度レーザー技術の発展によって、高強度レーザーで生成されたプラズマから量子ビームの生成が可能になっている。本研究では、極短バルスレーザーで生成された Raditaion Reactionによる高輝度ガンマ線から(γ,n)反 応で中性性生成を Phitsシミュレーションコードで計算した。

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課題番号:共2017-02

研究代表者: 千葉 敏
研究分担者(所属): 河野俊彦(ロスアラモス国立研究所) 、石塚知香子(先導研・助教)、奥村 森(先導研・研究員)
研究課題名: 統計模型に基づく核分裂即発中性子放出機構の研究
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 核分裂により発生する即発中性子数は、原子炉の臨界性予測に不可欠な情報である。この 数値的予測には核分裂片に関するデータが必要である。本研究では、即発中性子に関する核 データの精度向上を目的とし、当研究室で開発したランジュバン模型計算で得られた核分裂 片の全運動エネルギー及び収率分布をHauser-Feshbach模型に連結することで、多重度やス ペクトルから核分裂からの即発中性子放出の微視的な理解を得た。

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課題番号:共2017-03

研究代表者: 千葉 敏
研究分担者(所属): 小野 章(東北大学)、石塚知香子(先導研・助教)、餌取篤彦(原子核工学コース・M2)
研究課題名: 反対称化分子動力学による核データの研究
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 反対称化分子動力学に対称ブースト模型を導入し、核分裂の動的シミュレーションを実施可能な微視的手法 を開発した。摩擦冷却法により236U原子核の基底状態を作成し、z軸方向に原子核を対称に分裂させる集団運動量を与えることで原子核に伸長を与え、十分長く中間状態に滞在した後で核分裂する条件を注意深く検索した。特に、核内での二核子衝突が無いと分裂しない初期条件を見つけ、それに核子二核子衝突を導入することで分裂片の質量数分布や全運動エネルギーに分布が生じることを見出した。これは二核子衝突のような確率過程が核分裂を記述する上で重要な効果を与えることを世界で初めて提唱する結果である。

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課題番号:共2017-04

研究代表者: 筒井広明
研究分担者(所属): 篠原孝司(量子科学技術研究開発機構・核融合エネルギー研究開発部門・上席研究員),飯尾俊二(先導研・教授),谷 啓二(先導研・研究員),Anggi Budi Kurniawan(融合理工学系・D1),井上 真太朗(融合理工学系・M2)
研究課題名: 高エネルギー粒子閉じ込めの有限ラーマー半径効果の解析
研究期間: 平成29年5月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 旋回中心近似を行う/行わないの二通りでリップル共鳴拡散を評価した。有限ラーマー半径効果を含むフル軌道計算でも、M字型のエネルギー依存性が見られたが、計算量、及び、検討が足らず、物理機構の解明には至っていない。また、MPI並列で書かれたコードをGPGPUに移植することを試み、移植に関する問題点を抽出したが移植には至らなかった。

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課題番号:共2017-05

研究代表者: 筒井広明
研究分担者(所属): 西村征也(政大学・理工学部・准教授)
飯尾俊二(先導研・教授)
神宮司悠太(法政大学・電気電子工学科・4年生)
研究課題名: 強磁性体存在下における3次元安定平衡配位の実現と制御
研究期間: 平成29年6月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 磁性体が存在する3次元平衡配位を計算するプログラム作成の準備を行った。磁気面上の面電流分布を従来は線電流群で表していたが、この方法では線電流の位置での磁場発散を避けるために人為的パラメータの設定が必要で、そのパラメータが計算結果に与える影響が無視できなかった。そこで、境界要素法で用いられる方法を導入し解析的に発散を回避できるようにした。また、その収束性についても確認した。

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課題番号:共2017-06

研究代表者: 島田幹男
研究分担者(所属): 北條宏徳 (東京大学)
研究課題名:

クロマチン免疫沈降シークエンス法を用いた放射線照射後の遺伝子発現変動 

の解析
研究期間: 平成29年6月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 放射線は細胞内ゲノムDNAに損傷を与え細胞死や突然変異を惹起するが、生物にはこれらDNA損傷に対する生体応答システムとしてDNA修復機構が存在し、損傷したDNAを即座に修復する能力が備わっている。DNA修復機構は遺伝子発現レベルで複雑に制御されており、数十、数百という分子群が数秒単位の速度でダイナミックに変動する。しかし、放射線照射後の細胞内の遺伝子発現プロファイルは不明な点が多い。本研究ではクロマチン免疫沈降シークエンス(ChiP-Seq)法およびRNA-Seq法を用いて放射線照射後のDNA損傷応答遺伝子発現機構を解析するために実験技術の確立を実施した。

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課題番号:共2017-07

研究代表者: 島田幹男
研究分担者(所属): 加藤晃弘(東北医科薬科大学)
研究課題名: 放射線によって誘発されるDNA損傷応答分子ネットワークの理解と制御
研究期間: 平成29年6月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 放射線によるDNA損傷に対する生体応答の分子ネットワークに着目した本研究ではDNA損傷応答のうち相同組換えおよび非相同末端結合修復依存的な二本鎖切断修復機構の分子システムに着目し、その解明を目指した。当該年度は特に昨年度の研究計画で樹立した遺伝子破壊細胞の機能解析を行うとともに他の二本鎖切断修復因子の遺伝子破壊細胞の作成を試みた。

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課題番号:共2017-08

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属): 前田宏治(JAEA)、井上利彦(JAEA)、関尾佳弘(JAEA)、佐々木新治(JAEA),勝山幸三(JAEA)、矢野豊彦(東工大・先導原子力研究所)、You Yan(東工大・原子核工学専攻学生)
研究課題名: 制御棒吸収材料B4Cの物性研究
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 高速炉用制御材として炭化ホウ素(B4C)ペレットが用いられている。高速炉の安全性を維持するためには、制御材の安全性を維持することが重要であり、B4Cペレットの中性子照射挙動を十分理解することが必要となる。本研究では実際に高速実験炉「常陽」内で中性子照射したB4Cペレットについて、集束イオンビーム加工観察装置(FIB)により試料調製を行った後、透過型電子顕微鏡(TEM)により微構造評価を行い、中性子照射による微構造変化を明らかにした。

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課題番号:共2017-09

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属): 西村聡之(物質材料研究機構)、矢野豊彦(東工大・先導原子力研究所)、Liao Nengqing(東工大・材料系 原子核工学コース・修士2年)
研究課題名: Al4SiC4を焼結助剤とした炭化ケイ素セラミックスの焼結性及びその特性評価
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 3元系化合物は、金属とセラミックスとを組み合わせた特徴を有するユニークな材料であり、高強度、高い電気伝導性及び熱伝導性、優れた耐食性、耐熱性,耐熱衝撃性及び機械加工性等の特性を有する。本研究では3元系化合物としてAl4SiC4に注目し、合成したAl4SiC4粉末及びAl4SiC4を焼結助剤として添加したSiC(SiC/Al4SiC4)を放電プラズマ焼結装置(SPS)により焼結し、Al4SiC4焼結体及びSiC/Al4SiC4焼結体の焼結性及び特性を評価した。

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課題番号:共2017-10

研究代表者: 吉田克己
研究分担者(所属): 鈴木 達(物質・材料研究機構)、矢野豊彦(東工大・先導原子力研究所)、Pornphatdetaudom Thanataon(東工大・原子核工学専攻)
研究課題名:

配向性セラミックスの中性子耐照射性に関する研究

研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 物質の諸特性は、結晶面や軸方位により異なる場合が多く、多結晶体における個々の結晶方位を揃えたりするなどの配向制御は近年特に注目されている組織制御手法の一つである。本研究では、強磁場中コロイドプロセスにより作製した配向窒化アルミニウムへの中性子照射試験を行い、中性子照射が材料寸法変化に及ぼす影響を検討した。また、アニールによる欠陥回復挙動を評価した。

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課題番号:共2017-11

研究代表者: Anna Gubarevich
研究分担者(所属): Kazuhiro Yamamoto (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
研究課題名: Synthesis and characterization of onion-like carbon with high specific surface area
研究期間: 平成29年7月3日 ~ 平成30年3月31日
抄録: Onion-like carbon (OLC) is a carbon nanomaterial with a characteristic structure of concentrically arranged curved graphene layers. Due to the combination of moderately high specific surface area and high electrical conductivity, OLC has been gaining an increasing attention as an active electrode material or conductive additive in high power energy storage devices and as an attenuating material in electromagnetic shielding applications. For the successful application, especially in the energy storage field, effective methods to synthesize OLC powders with high specific surface area are indispensable. In the present study, structure and specific surface area of OLC powders synthesized by infra-red heating of nanodiamonds at various conditions have been evaluated.

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課題番号:共2017-12

研究代表者: 片渕竜也
研究分担者(所属): 河地有木(量研機構),山口充孝(量研機構),長尾悠人(量研機構),栗田圭輔(量研機構),片岡 淳(早稲田大),有元 誠(早稲田大)
研究課題名: ホウ素中性子捕捉療法のリアルタイム線量評価に向けたコンプトンイメージング技術の開発
研究期間: 平成29年6月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のリアルタイム線量評価に向けてコンプトンイメージング技術の開発を行った。東工大ペレトロン加速器でコンプトンイメージングカメラを用いた実験を行った。実験結果をもとにBNCT用線量評価に適したコンプトンカメラを検討した。

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課題番号:共2017-13

研究代表者: 飯尾俊二
研究分担者(所属): 江尻 晶(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 准教授) 村山真道(東京工業大学 環境・社会理工学院 博士課程) 筒井広明 (東京工業大学 准教授) 嶋田隆一(東京工業大学 研究員)
研究課題名: (和文)交流 OHコイル通電によるトカマクの直流電流駆動
(英文)Unipolar current drive in tokamaks by AC Ohmic coil energization
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: ACオーミックとは、トカマク装置のプラズマ電流を駆動するために必要な周回電圧に1kHz以上の高周波電圧を印加する手法である。PHiXでもACオーミック放電が可能であっ たが、さらなるACオーミック実験をするに先立ち、トロイダル磁場コイルの再設置を行っ た。提案した手法により、支持構造やトロイダル磁場コイルの傾きをmm単位で正確に測定 しながら位置補正を行うことにより、エラー磁場の大幅な低減が達成された。

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課題番号:共2017-14

研究代表者: 松本義久
研究分担者(所属):

横谷明徳  (量研機構・量子ビーム)、島田幹男(先導研)、山崎あかね(同)、 西久保 開(茨城大学)鬼澤美里(同)

研究課題名:

タンパク質2次構造の動的変化によるDNA二重鎖切断修復の制御機構の解析

(Regulation of DNA double-strand break repair through dynamic change in protein secondary structure)
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 本研究は平成28年度からの継続である。平成28年度はDNA二重鎖切断修復に関わるXRCC4タンパク質をまず大腸菌で発現し、カラムクロマトグラフィーによって精製した後、円二色性(CD)解析を行った。本年度は、正常XRCC4に加え、リン酸化による制御に関わる部位や、小頭症患者で変異がみられる部位に人為的に変異を導入したXRCC4を作製し、同様のスペクトル解析を行った。その結果、XRCC4の2次構造とDNA二重鎖切断修復機能の相関が認められた。

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課題番号:共2017-15

研究代表者: 塚原剛彦
研究分担者(所属): 金 聖潤(東北大学 大学院 工学研究科 量子エネルギー工学専攻・准教授)
研究課題名: 抽出クロマトグラフィー用吸着材の化学的安定性の検討
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 抽出クロマトグラフィー法はHLLWからの核種分離法の一つとして期待されているが、吸着性能の劣化やカラム閉塞といった安全上の懸念(火災・爆発等)を引き起こす恐れがあるため、その対策が喫緊の課題となっている。本研究では、吸着材の化学的・熱的耐性を調ベると共に、その劣化機構について検討を行った。

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課題番号:共2017-16

研究代表者: 塚原剛彦
研究分担者(所属): 菅原義之(早稲田大学・理工学術院先進理工学部応用化学科・教授),品田洋介(早稲田大学大学院 先進理工学研究科 応用化学専攻・修士2年),井戸田直和(法政大学 生命科学部 環境応用化学科・講師)
研究課題名: 耐放射線性マイクロ流路表面の構築と金属イオン分離への応用
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 廃止措置において発生する放射性廃棄物を合理的に処理処分するには、迅速・簡便かつ高効率な新しい核種分析法の構築が欠かせない。本研究では、マイクロ流路内に表面機能と耐放射線性を有する無機ナノ構造物を構築する手法を確立すると共に、このマイクロ流路を用いて金属イオンの抽出分離試験を実施した。

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課題番号:共2017-17

研究代表者: 相楽 洋(東工大)
研究分担者(所属): 大橋弘史(日本原子力研究開発機構(原子力機構))、佐藤博之(原子力機構・原子力科学研究部門原子力水素・熱利用研究センター小型高温ガス炉研究開発ユニット・安全設計グループ)、青木 健(東工大原子核工学専攻)
研究課題名:

(和文)高温ガス炉の核不拡散性及び安全性の定量化に関する研究

(英文)Quantifying the features of safety and non-proliferation of  high temperature gas cooled reactors
研究期間: 平成29年4月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 本共同研究では高温ガス炉の3S(安全・核不拡散・核セキュリティ)特性の定量化を目的として、核不拡散性の評価手法に関する優れた研究成果を有する東京工業大学と、高温ガス炉の安全性向上に向けた研究開発を行っている原子力機構の知見を活用した協力研究を実施する。安全・セキュリティ複合事象として新しく考案した炉容器冷却設備機能不全を伴う減圧事故では、圧力容器最高温度が約676℃まで著しく上昇させる技術的課題を見出した。

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課題番号:共2017-18

研究代表者: 赤塚 洋
研究分担者(所属): 湯地 敏史(宮崎大学・教育学部),赤塚 洋(原子炉工学研究所・准教授)根津 篤(技術部・技術専門員)
研究課題名: 真空アーク放電における電流遮断時の不安定現象の解析
研究期間: 平成29年8月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 本研究は,安全な電力供給に欠かせない線路上の開閉装置において主に使用されている真空遮断器内の真空アーク放電モデルを構築しシミュレーションすることが目的である。遮断器内での不安定な電流裁断現象を無衝突シースと衝突プラズマ遷移領域を陰極点モデル8式より,理論的に求めることのできない2個の未知数のパラメータの解が虚数となる領域でアークが不安定状態に至ることを明らかとした。

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課題番号:共2017-19

研究代表者: 片渕竜也
研究分担者(所属): 山口充孝(量研機構)
研究課題名: 制動放射線を用いた粒子線がん治療用粒子線モニターの基礎的研究
研究期間: 平成29年6月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 制動放射線を用いた粒子線がん治療用ビームモニターの開発のために低エネルギー制動放射線のスペクトル測定を行った。結果として、今回の測定法では制動放射線の予測精度向上に資する十分な質のスペクトルデータを取得することはできなかったが、実験手法の課題、今後の改良について検討を行うことはできた。

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課題番号:共2017-20

研究代表者: 相楽 洋
研究分担者(所属): 大滝 明(原子力機構)
藤岡里英(東工大融合理工系原子核工学コースD3)
研究課題名: 高速炉サイクルシナリオによるTRU物質収支と核不拡散性への影響に関する研究
―燃焼遷移行列を用いた物質収支解析精度向上方策-
研究期間: 平成29年12月1日~平成30年3月31日
抄録: 高速炉サイクルの物質収支と核不拡散性への影響評価を目的として、プルトニウム利用戦略に適した高速炉等の炉心設計を行っている東工大と、核燃料サイクル諸量解析コードFAMILY-21の開発および同コードによる研究実績が豊富な原子力機構の知見を活用した共同研究を実施している。本共同研究では多様なTRU燃料組成や炉心構成の高速炉と軽水炉を対象に燃焼遷移行列を作成し、FAMILYへの適用化と計算精度向上を図り、シナリオ評価を行う。

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課題番号:共2017-21

研究代表者: 飯尾俊二
研究分担者(所属): 藤澤彰英(九州大学 応用力学研究所 教授)
村山真道(東京工業大学 環境・社会理工学院 博士課程)
研究課題名: (和文)自励誘導発電機を用いたトロイダル磁場コイル電源設計のための予備実験
(英文)Preliminary Experiment for Design of TFC Power Supply Using Self Excited Induction Generator
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 本研究により、自励誘導発電機から誘導性負荷に対して、誘導発電機の連続定格55kWの2倍以上である128kWが発電可能であることが実証された。これにより九州大学で製作中の 新トカマク装置に必要な誘導発電機の定格・台数を算定することが可能となった。また本研 究のために製造した誘導発電機制御装置により、本研究室の保有するトカマク装置”PHiX”のトロイダル磁場を増強も達成され、装置の高性能化にも寄与することができた。

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課題番号:共2017-22

研究代表者: 石塚知香子
研究分担者(所属): 西尾勝久(日本 原子力研究開発機構 先端基礎研究センター), 千葉 敏(東京工業大学 先導原子力研究所)
研究課題名: ランジュバン模型による荷電偏極の定量的評価手法の開発
研究期間: 平成29年8月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: ウランの場合には複合核の陽指数と質量数の比から予想される電荷より、核分裂片の持つ電 荷が平均で電荷/2 だけずれることが実験的に知られている。このずれを荷電偏極と呼び、 非常に小さな値ながら、即発中性子数や遅発中性子数に影響する重要な物理量である。本研 究課題ではランジュバン模型および自己無撞着な 3 次元時間依存平均場模型を用いてウラン 核分裂片の荷電偏極の発現機構を検証した。

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課題番号:共2017-23

研究代表者: 大貫敏彦
研究分担者(所属): 川添一郎(東京バイオテクノロジー専門学校),小室真保(東京バ イオテクノロジー専門学校)
研究課題名: 希土類元素の糸状菌による取り込み機構の解明研究
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 金属元素の糸状菌の生長に及ぼす影響を調べる試験として、5000ppm-625ppmのCsを添加したPDA培地上で糸状菌( Pleurotus ostreatus 及び Lentinus edodes )を栽培し、菌糸の成長を調べた結果、L. edodesでは2500ppm以上のCsを添加時に生育抑制効果が現れた。一方、P . ostreatus無では実験の濃度範囲では顕著な抑制効果は観察されなかった。Cs添加培地で生育させたL. edodesを用いて放射光においてCs L3吸収端のXFASスペクトルを検知できたことから、L. edodes へのCsの濃集を確認できた。さらに、XAFS解析により取り込まれたCsはイオンの形態で存在することを明らかにした。

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課題番号:共2017-24

研究代表者: 竹下健二
研究分担者(所属): 松村達郎(日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究センター分離変換技術開発ディビジョン・研究主席)
研究課題名: アミド系抽出剤を用いたマイナーアクチノイドと希土類の分離に関する研究
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: HLLWからのマイナーアクチノイド(MA)とランタノイド(Ln)の分離によって、ガラス固化体にかかる負荷低減や処分場面積の削減が期待される。種々の側鎖構造を有するアミド系抽出剤を用いて、14種のランタノイドとAm の抽出分離に及ぼす酸濃度、イオン強度、振とう時間、配位子濃度依存性等を系統的に取得すると共に、MA/Ln分離に適した条件を探査した。

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課題番号:共2017-25

研究代表者: 林﨑規託
研究分担者(所属): 佐藤大輔(高エネルギー加速器研究機構) 村田亜希(理工学研究科原子核工学専攻・D3)
研究課題名: (和文)高周波電子銃共同研究拠点形成のためのフィージビリティ研究
(英文)Feasibility study for the establishment of joint research site on RF electron gun
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 高周波電子銃は,高周波電場を用いて電子ビームを生成・加速する加速器技術である。電子 ビームの応用普及に向けて小型で安価な電子銃の必要性は高いことから,我が国の大学におけ る高周波電子銃の共同研究拠点を先導原子力研究所に形成すべく,そのフィージビリスタディ を進めている。その初年度として,高周波電子銃の電源となるクライストロンシステムを整備 するとともに,東工大オリジナルデザインの多目的高周波電子銃の設計をおこなった。

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課題番号:共2017-26

研究代表者: 林﨑規託
研究分担者(所属): 岩井岳夫(山形大学) 池田翔太(理工学研究科原子核工学専攻・D3) 細貝達哉(融合理工学系原子核工学コース・M2)
研究課題名: (和文)重粒子線がん治療装置用次世代型イオン源・入射器の開発
(英文)Development of future ion source and injector for heavy-ion radiotherapy
研究期間: 平成29年7月1日 ~ 平成30年3月31日
抄録: 東工大が特許を有する三体構造RFQ線形加速器は、センタープレート及びメジャーベーン と呼ばれる 3つの部品を溶接やロウ付など使わずにボルト組み立てするものであり、機械精度と電力効率に優れており、アライメント誤差などの影響を最小限に抑えることが可能である。 山形大学の次世代重粒子線治療装置の入射器の初段試作機は,2015年に三体構造RFQ線形加速器の実機として初めて製作されたものであり,本研究では,その高周波測定を通じて設計開発技術の高度化をおこなった。
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