中瀬 正彦

中瀬 正彦
原子力工学部門

職名
准教授
電話
03-5734-3992
Eメール
zc.iir.titech.ac.jp
研究室HP
https://nakase.zc.iir.titech.ac.jp/
研究者リンク
Web of Science | ORCID

研究の特徴

原子力発電によって発生した使用済み核燃料の安定的な処理は原子力政策のいかんに関わらず重要です。使用済み核燃料は核分裂反応やその後の崩壊反応などにより多様な元素、同位体を含んでいます。このうち少量でも高放射毒性な元素(マイナーアクチニド;アメリシウムやキュリウム)、高発熱性元素(セシウム、ストロンチウム)を分離することでガラス固化体製造にかかる負荷の低減や最終処分場に必要な敷地の大幅な低減が可能となります。また、ガラス固化体製造で問題となる白金族系元素分離(モリブデン)も重要です。また、使用済み核燃料から再利用可能な核分裂性物質を分離して利用すればエネルギー自給率の向上、エネルギーセキュリティ向上にもつながります。また、近年原子炉内で少量希少金属が核変換によって創成できることに注目し、エネルギー生産とともに有用元素を創生・分離して利用することも検討がなされつつあります。これらの重要なキーワードである“分離科学”について、化学、化学工学、機械工学を駆使した基礎・基盤研究を行っています。原子力を足掛かりに人間社会の困難な問題の解決に取り組み、社会貢献していくことを目標としています。

紹介動画

研究の概要

核燃料サイクルにおける先進湿式再処理において重要なアメリシウムとユウロピウムの分離は化学的性質の類似性から困難な系です。これらを高度に分離するための有機配位子や吸着剤の合成・性能評価とその錯体化学への理解を種々の分析手法を用いて進めています。また、原子力分野以外で重要な様々な分離系についても興味を持って研究を進めています。抽出剤や吸着剤を効果的に用いるためのアプリケーション開発も行っています。例えば回転二重円筒管内に誘起されるテーラー・クエット流を用いた液液向流遠心抽出装置を設計し、油水分散流動計算や流れの計測と連続抽出分離試験結果を併せ、装置内の複雑な流動状態と化学現象の相関を調べています。更に、分離プロセス設計・解析も援用して高度な抽出分離プロセスの開発を目指しています。このような化学から機械工学に渡る分離科学のシームレスな研究を展開しています。

キーワード

核燃料サイクル、バックエンド技術、使用済み核燃料再処理、分離科学、プロセス設計、溶媒抽出、吸着材開発、反応装置設計、数値流体力学、f元素化学、単結晶X線構造解析、放射光EXAFS