小林 能直

小林 能直
原子力工学部門

職名
教授
電話
03-5734-3075
Eメール
zc.iir.titech.ac.jp
研究室HP
https://kobayashi.zc.iir.titech.ac.jp/
研究者リンク
Web of Science | ORCID

研究の特徴

原子力システムを長期間にわたり安全にオペレートするために必要な、信頼性・健全性の高い金属材料に関する研究を行っています。核燃料被覆材・圧力容器や蒸気管など高温・高腐食性、応力・放射線照射の環境下で長期に使用される金属材料の健全性を高めるため、組成・組織の最適制御を目指した創成プロセス開発と特性評価を行っています。また、廃棄物処理の促進を目指した溶融ガラス中白金族酸化物の熱力学的性質の測定、および過酷事故時対応を考慮した高融点金属の開発を行っています。

紹介動画

研究の概要

  1. 核燃料被覆材の原子炉内環境耐久性向上
    燃料被覆材ジルカロイの高温強度および表面酸化膜の安定性が核燃料の健全性を決定づけます。ジルカロイ中酸素濃度を制御することにより、高温高圧水中ブレークアウェイポイントまでの長寿命化と、高温強度の保持の両立を目指します。また高速炉で燃料被覆材としての使用が検討されているODS(酸化物分散強化鋼)の酸化物微細分散法の確立と性能の向上を検討します。
  2. 原子炉容器用オーステナイトステンレス鋼の原子炉内環境耐久性向上
    オーステナイト系ステンレス鋼中不純物のP、Nは高放射化元素であるため、これらの極低減化および照射劣化特性評価を行います。また、次世代高速炉冷却材として注目されているPb-Bi合金中ステンレス鋼合金成分の活量測定を行い、その溶出挙動を予測します。
  3. 廃棄物処理プロセスの円滑化
    高レベル放射性廃棄物を溶融減容するプロセスで使用する溶融ガラス中に白金族元素が金属状態で生成すると溶融プロセスに多大な支障が生じます。これを抑制するため、溶融ガラス中でこれらの金属が酸化物として安定に溶解・存在する条件を熱力学的に明らかにします。
  4. 苛酷事故フェールセーフ金属の開発
    苛酷事故の際には炉心材料は想定外の高温にさらされます。その際の炉心の安定性を担保するためには、容器材料への高融点金属の適用が考えられます。不純物量や組成を最適化することにより、耐照射性、耐熱性に優れた高融点金属あるいはその合金の開発を目指します。

キーワード

原子炉安全金属工学 炉心金属材料劣化 相安定性 材料健全性 冷却材 耐食性 高温強度 放射性廃棄物 高融点金属