松本 義久

松本 義久
原子力工学部門

職名
准教授
電話
03-5734-2273
Eメール
zc.iir.titech.ac.jp
研究室HP
https://matsumoto.zc.iir.titech.ac.jp

研究の特徴

本研究室が目指すのは、放射線の生体への作用・影響と生体の放射線に対する反応・応答を分子のレベルで理解すること、また、これを通じて、原子力・放射線の安全・安心利用に貢献するとともに、医学・生命科学における無限の可能性を追求することです。臨床医との共同研究も盛んに行っています。また、放射線の特性を生かした新しい生命現象解析法の開発にも取り組んでいきます。

紹介動画

研究の概要

放射線は生体の遺伝情報を担う物質、 DNA に様々な損傷を与えます。その中で、最も重篤で、生物効果 ? 例えば、放射線による発がん、がん放射線治療の成否、正常組織への影響の有無など―の鍵を握ると考えられているのが、 DNA 二重鎖切断です。本研究室では、分子生物学、生化学的手法を駆使して、生体が DNA 二重鎖切断を認識して、修復したり、他の生体防御反応を引き起こしたりするメカニズムを解き明かすことを目指しています。特に、 DNA 二重鎖切断のセンサーと考えられる分子 DNA 依存性プロテインキナーゼ (DNA-PK) と DNA 末端を最終的に繋ぎ合わせる分子と考えられる XRCC4-DNA ligase IV 複合体の性質や機能に注目しています。

 また、 上記および関連する研究で得られた独自の成果をがんの診断・治療に生かすことを目指しています。例として、タンパク質リン酸化を利用した新しい放射線増感剤の開発、 DNA 修復タンパク質の発現量や翻訳後修飾状態を指標とした放射線感受性予測法の開発などに取り組んでいます。

 この他、温熱療法 ( ハイパーサーミア ) の基盤的研究も行っています。また、加速器、レーザーなどを生かした新しい生命科学研究法の開発などにも挑戦したいと考えています。

研究室を志望する学生へ

本研究室では、分子生物学、生化学的手法を用いて、放射線生命現象を解明していくアプローチが主となりますが、生物学・医学出身の方も、それ以外、例えば、物理学、化学、情報科学など出身の方も歓迎します。いずれにしても、在学中に、 DNA 、タンパク質など生体分子や培養細胞の基本的な取扱いや解析法を習得できるよう教育、指導したいと思います。また、本研究室はアジアを中心に海外からの留学生を積極的に受け入れる方針で、セミナーの一部 ( 少なくとも ) を英語で行う予定でおります。しかし、最初から高い英語力を求めているわけではなく、むしろこのような環境を英語力向上に役立てて頂ければと思っています。熱意とチャレンジ精神を持った若い方々をお待ちしています。

キーワード

放射線生物学、分子生物学・生化学、がん放射線治療、放射線感受性、DNA損傷 ( 二重鎖切断)、DNA修復、細胞内情報伝達