Satoshi Chiba
Nuclear Energy Division
- Position
- Professor
- TEL
- +81-3-5734-3066
- chiba.satoshizc.iir.titech.ac.jp
- Researcher Link
- Web of Science | ORCID
Feature of Research
原子力を核反応基礎工学ととらえ、基礎となる原子核現象に工学的視点からアプローチをすることにより、原子力の安全性向上に資する研究を行ってい ます。またその成果を他の応用分野、基礎研究分野にも適用し、広く原子核反応の有効利用を図ることを目的とします。研究室での研究は理論、計算科学的手法が主になりますが、外部、特に原子力機構との共同研究により行う原子核実験もスコープに含みます。また、核反応を現実の世界と結びつける ために必要な放射線輸送シミューレーションの高度化や様々な状況への適用研究も行います。主な研究は以下の通りです。
Outline of Research
- シミュレーションによる核反応
原子炉や核融合炉、加速器駆動による核変換システムや(重)粒子線を用いるガン治療において起きる核反応の中でも軽い原子核の関与する反応や高エ ネルギーでの反応、中間質量のクラスターを生成する反応は複雑で反応機構は良く理解されていない。そこで我々はシミュレーションによりそれを記述し、革新的原子力システム構築に必要な基礎情報を固める。
- 動的模型による核分裂性核種の反応
核分裂は有限粒子から成る原子核の大規模集団運動である。これまでにも多くの研究がされてきたが、未だにその本質において未解明の部分が多々あ る。われわれは動的模型を用いて、核分裂性核種の反応機構(核分裂片の質量数分布、エネルギー分布、放出中性子数)などの記述を目指し、原子力に おける最重要反応種の定量的理解を進める。
- β崩壊
福島第一原子力発電所の事故原因となったのは核分裂生成物の崩壊熱、すなわちβ崩壊である。我々は中性子過剰核の起こすβ崩壊を大局的に記述し、 β線発熱、γ線発熱と中性子放出の様相解明を目指す。
- 放射線輸送シミュレーションPHITSの高度化
原子力機構で開発、維持されている放射線輸送シミュレーションPHITSコードシステムに組み込まれている物理モデルの改良や計算手法の高度化、 様々な場面における適用研究を行う。
- 実験
原子力機構東海のタンデム加速器やJ-PARCを用いる高度な原子核実験を共同で行う。特に我々が開発した重イオンを用いる多核子移行反応(代理 反応)は多くの不安定原子核の反応特性を同時に決定するために有効な手法である。そのための装置開発や理論的考察を含む。
- 元素合成機構の解明
宇宙における元素の起源の解明を行う。特に中性子捕獲元素合成は鉄より重い元素のほぼ全て、ウランやトリウムの全量を生成する機構であり、原子力 分野で用いるデータの検証ともなるため、原子核工学の知識を動員してこの分野への貢献を行う。
この他、原子核に関連する面白い話題があれば適宜行っていきます。より詳しくは研究室のHPをご覧ください。
Keyword
核反応、シミュレーション、核分裂の動的模型、核分裂片、β崩壊、崩壊熱、 PHITS、代理反応、元素合成