東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所、福島復興・再生研究ユニット(兼務)

原子力システム研究室

中瀬研究室の使命

原子力発電によって発生した使用済み核燃料の安定的な処理は原子力政策のいかんに関わらず重要です。使用済み核燃料は核分裂反応やその後の崩壊反応などにより多様な元素、同位体を含んでいます。このうち少量でも高放射毒性な元素(マイナーアクチニド;アメリシウムやキュリウム)、高発熱性元素(セシウム、ストロンチウム)を分離することでガラス固化体製造にかかる負荷の低減や最終処分場に必要な敷地の大幅な低減が可能となります。また、ガラス固化体製造で問題となる白金族系元素分離(モリブデン)も重要です。また、使用済み核燃料から再利用可能な核分裂性物質を分離して利用すればエネルギー自給率の向上、エネルギーセキュリティ向上にもつながります。また、近年原子炉内で少量希少金属が核変換によって創成できることに注目し、エネルギー生産とともに有用元素を創生・分離して利用することも検討がなされつつあります。
これらの重要なキーワードである“分離科学”について、化学、化学工学、機械工学を駆使した基礎・基盤研究を行っています。原子力を足掛かりに人間社会の困難な問題の解決に取り組み、社会貢献していくことを目標としています。

ニュース

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2023/5/9

共同研究打ち合わせの様子

中瀬研では様々な共同研究を進めています。もちろん、原子力以外のテーマも積極的に進めています。今回はAGCとの共同研究打ち合わせ中に竹下健二先生が居室に来られました。和気あいあいと研究を楽しんでいます。

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2023/5/10

京大山村研究室のゼミに参加しました。

京都大学複合原子力科学研究所、アクチノイド物性化学研究分野、山村研究室のゼミに、原子力機構、東北大学の先生とともに参加しました。山村朝雄先生には、私が原子力機構SPring-8サイトでのポスドクの時から、アイダホ国立研究所でのポスドク時代から大変お世話になっています。今後も引き続きたくさんのことを学ばせていただきたいと思います!
[ 京都大学 山村研究室 ]

2023/5/16-2023/5/19

米国アイダホ国立研究所で46th Actinide Separations Conferenceに参加

米国アイダホ国立研究所開催された46th Actinide Separations Conferenceで次世代再処理に関する研究発表を行いました。併せて、世界で初めての商用原子炉であるEBR-1、アイダホ国立研究所世の照射用原子炉のATRを見学しました。EBR-1は、NaKという液体金属冷却の原子炉で、1951年の段階でこのような施設を作っていたことに驚きました(2回目の訪問でしたが)。ATRは今回が初めての訪問で、原子炉建屋内に巨大な米国国旗が掲揚してあったのが印象的でした。米国は、研究に必要な施設を必要なタイミングで整備し、基礎・基盤を蓄積していく力がすごいと感じています。単に研究費が日本とはけた違いに多いだけではないことは確実です。再度日本は米国、その他諸外国の良いところを謙虚に学び、真に必要な改革は断行しながら、何につけても戦略的に研究開発を行う必要があります。東工大竹下健二先生、京都大学山村朝雄先生、原子力機構矢板毅先生とも一緒でした。また米国大学や国立研究所のたくさんの友人と久しぶりに会えて、意義深い出張でした。

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2023/5/21-2023/5/22

分析化学討論会@富山大学五福キャンパスに参加

最近取り組んでいる、マイクロビームを用いた顕微XAFSによる、福島第一原子力発電所で発生した汚染水処理二次廃棄物の安定固化体の、“ハイブリッド固化体”の分析について発表しました。中瀬研では放射光XAFS実験を頻繁に行っていますが、今後は硬エックス線に加えて、顕微的手法、軟エックス線での分析に力を入れる計画です。学生さんも自分の試料をもって、一緒に実験しましょう!

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2023/5/29

渡邊真太さん壮行会!

約3年にわたり竹下研究室、福島復興再生研究ユニットを支えてくださった、渡邊真太さんの壮行会を大岡山の蕎麦屋、しばたで行いました。渡邊さんには私が代表の国プロ課題でも理論計算で多大なるサポートをいただきました。化学計算への深い造形と、穏やかなメンタリティーで、研究室への貢献は計り知れないくらい大きなものでした。新天地でもご活躍を祈念しています!(まだまだ共研でお世話になります。)

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2023/5/30

京都大学複合原子力科学研究所を施設利用共同研究のために訪問

京都大学複合原子力科学研究所の施設利用共同研究で、山村朝雄先生の元を訪問しました。午前にはゼミとして阪大の福田貴光の先生からのフタロシアニン研究に関するご発表、山村研博士学生の齋藤さんからの国際会議に関する発表を聴講しました。午後は福田先生、外山先生、斎藤さんとともに、フタロシアニン昇華精製装置のセットアップを行いました。実験装置の自作は、ノウハウと蓄積が重要ということを改めて感じました。

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NMB

東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所(東工大ZC研)の中瀬研究室と日本原子力研究開発機構の西原健司博士らの研究グループと共同で、将来の原子力利用シナリオのシミュレーションコードNMB4.0を開発し、同研究所HPから無償公開を行っています。