成果報告書

2019年度 共同利用・共同研究 成果報告書

  1. 課題番号:共2019-01
    遅発中性子を取り入れた積分型輸送方程式による動特性解析手法の開発
  2. 課題番号:共2019-02
    iPS細胞由来造血幹細胞を用いた放射線影響研究
  3. 課題番号:共2019-03
    液体金属環境下における腐食と放射線照射の重畳効果に関する研究
  4. 課題番号:共2019-04
    反対称化分子動力学による対称成分核分裂機構の研究
  5. 課題番号:共2019-05
    大気圧非平衡プラズマの物理と計測に関する研究
  6. 課題番号:共2019-06
    極限環境用シロキサン系化合物の吸着材料の研究
  7. 課題番号:共2019-07
    有限ラーマー半径効果のリップル共嗚拡散による高速イオン損失への影響評価
  8. 課題番号:共2019-08
    放射線影響の体系的・定量的解明のための学際的ネットワークと基盤理論の構築
  9. 課題番号:共2019-09
    シミュレーションと細胞生物学の融合による低線量・低線量率放射線影響解析
  10. 課題番号:共2019-10
    多様な廃棄物内核物質量測定のための簡便で高度な非破壊測定法の研究
  11. 課題番号:共2019-11
    バックエンドプロセスにおける物量評価手法の開発とNMBコードヘの実装
  12. 課題番号:共2019-12
    MA分離用配位子の創製と物性評価
  13. 課題番号:共2019-13
    自励誘導発電機の過渡特性解明とパルス運転設計手法の提案
  14. 課題番号:共2019-14
    セミの抜け殻を利用した元素分布の広域調査
  15. 課題番号:共2019-15
    13Cの中性子捕獲断面積の測定
  16. 課題番号:共2019-16
    電気泳動堆積法による炭化ケイ素繊維への窒化ホウ素界面層形成技術の開発

課題番号:共2019-01

東京工業大学: 研究代表者 小原 徹(先導原子力研究所・教授)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 竹澤 宏樹(東京都市大学工学部原子力安全工学科/大学院総合理工学研究科共同原子力専攻・講師)
研究課題名: 遅発中性子を取り入れた積分型輸送方程式による動特性解析手法の開発
研究期間: 2019年6月1日(または採択日) ~ 2020年3月31日
抄録: 小原研究室では積分型輸送方程式の理論に基づいた即発超臨界動特性解析コード(MIKコード)を開発している。本コードに遅発中性子先行核と遅発中性子を取り扱う機能を加え、遅発超臨界の解析や即発超臨界後の遅発中性子の効果の解析を可能とするための理論的検討とその検証を東京都市大学と共同で行った。

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課題番号:共2019-02

東京工業大学: 研究代表者 島田 幹男(松本研究室・助教)
研究分担者 塚田 海馬(松本研究室・博士課程2年)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 石川 純也(杏林大学保健学部・助教)
研究課題名: iPS細胞由来造血幹細胞を用いた放射線影響研究
研究期間: 2019年6月1日(または採択日) ~ 2020年3月31日
抄録: 血液細胞は放射線による影響を受けやすい細胞の一つであり、急性被曝の際はリンパ球をはじめとして末梢血中の血球細胞の減少がみられる。本研究では放射線による造血幹細胞への影響を解析するためにヒトiPS細胞由来造血幹細胞を用いて放射線依存的な突然変異の頻度を計測することを目的とした。そこでフィーダフリーで培養しているヒトiPS細胞に対して分化誘導因子を加え、造血幹細胞への分化誘導を実施した。今後は樹立した造血幹細胞を用いて突然変異の頻度を計測する予定である。

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課題番号:共2019-03

東京工業大学: 研究代表者 近藤 正聡(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者 高橋 尚希(工学院機械系原子核工学コース・修士課程1年)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 秋吉 優史(大阪府立大学 研究推進機構・放射線研究センター 准教授)
研究分担者 田中 照也 (核融合科学研究所 ヘリカル研究部 准教授)
研究課題名: 液体金属環境下における腐食と放射線照射の重畳効果に関する研究
研究期間: 2019 年6月1日 ~ 2020年3月31日
抄録: 核融合炉や高速炉の冷却材として液体金属が期待されている。構造材料との材料共存性が課題であるが、その改善策として保護性酸化被膜を材料表面に形成する手法が検討されている。放射線照射下における材料共存性の評価手法の確立を目的とし、薄板積層構造の試験片封入キャプセルを設計し製作した。2018年度実施したキャプセル加熱試験(非照射および電子線照射)の結果について金相観察により詳細に調べ、試験法としての有効性を検証した。

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課題番号:共2019-04

東京工業大学: 研究代表者 千葉 敏(先導原子力研究所・教授)
研究分担者 石塚 知香子(千葉研・助教)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 小野 章(東北大学・理学研究科・助教)
研究課題名: 反対称化分子動力学による対称成分核分裂機構の研究
研究期間: 採択日 ~ 2020年3 月31日
抄録: 反対称化分子動力学を用いてアクチノイド及び超アクチノイド領域原子核の質量数分布における対称分裂成分の研究を行った。この領域において主要な核分裂機構である非対称分裂成分はA=132の球形閉殻及びA=144の変形閉殻の影響を強く受けていると推測されるが、対称分裂成分は殻効果の影響を受けず、核分裂片の全運動エネルギーが非対称分裂に比べて有意に小さい値となることが分かっている。本研究では、スピン・軌道相互作用を省略した核力に基づく反対称化分子動力学を用いてブースト法により対称核分裂成分の全運動エネルギーの解析を行い、実験データをどの程度説明できるかを調べた。その結果、本計算が占める全運動エネルギーの分裂核のZ2/A1/3依存性が実験値及びランジュバン模型の計算値と異なることが示され、対称成分においてもZ2/A1/3が増加するに連れて殻効果の影響を受けるようになることが示唆された。

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課題番号:共2019-05

東京工業大学: 研究代表者 赤塚 洋(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者 根津 篤(先導原子力研究所・技術部技術専門員)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 山家 清之( 新潟大学工学部・准教授)
研究課題名: 大気圧非平衡プラズマの物理と計測に関する研究
研究期間: 2019年7月1日~ 2020年3月31日
抄録: 近年、大気圧非平衡プラズマを用いた産業及び医療応用など様々な分野への研究が盛んに進められている。特に、プラズマの電流と温度の値を明示することが必要不可欠なものとされているが、大気圧非平衡プラズマの物理機構には未解明な点が多く、プラズマの状態と計測から求まるプラズマの特性値との相関関係には不明な点が多い。本研究では、プラズマの電流挙動及び励起温度を計測し、電流と温度の相関関係を明らかにした。

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課題番号:共2019-06

東京工業大学: 研究代表者 グバレビッチ アンナ(先導原子力研究所・助教)
研究分担者 吉田 克己(先導原子力研究所・准教授)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 山中 理代(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 研究開発部門・研究開発員)
研究課題名: 極限環境用シロキサン系化合物の吸着材料の研究
研究期間: 2019年4月1日 ~ 2020年3月31日
抄録: 軌道上運用時に発生する宇宙機の使用材料からのアウトガスに起因するコンタミネーション(汚染)問題は運用の妨げとなるため、解決手法の新規創出が渇望されている。本研究ではアウトガスの中でも、特に軌道上での除去が難しいとされるシリコーン系接着剤由来のシロキサン系化合物に着目。シロキサン系化合物の宇宙機表面への付着を極力低減でき、かつ、宇宙環境中で使用可能な吸着材料を開発する。今年度は、最適な吸着材料候補となる材料の調査・検討と、試作品の評価を実施した。

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課題番号:共2019-07

東京工業大学: 研究代表者 筒井 広明(先導原研・准教授)
研究分担者 飯尾 俊二(先導原研・教授),谷 啓二(先導原研・研究員)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 篠原 孝司(量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギ一部門・上席研究員)
研究分担者 隅田 脩平(量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギ一部門・研究員)
研究課題名: 有限ラーマー半径効果のリップル共嗚拡散による高速イオン損失への影響評価
研究期間: 2019年4月1日~ 2020年3月31日
抄録: 我々は、軸対称円形断面平衡について、赤道面外側を初期位置とする無衝突軌道を旋回中心近似有り無しで計算し、そのバナナチップ位置の違いを調ぺていた。その際、得られた結果では、旋回中心近似無しの軌道をジャイロ位相平均して得られる軌道は、旋回中心近似で得られた軌道から外れ、リップル共鳴条件が変わる可能性が示されていた。今回、非円形断面で、ITERに比ペ弱磁場のJT-60SAの平衡配位でも、同様の結果が得られた。

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課題番号:共2019-08

東京工業大学: 研究代表者 松本 義久(先導原子力研究所・准教授)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 真鍋 勇一郎(大阪大学大学院工学研究科・助教)
研究分担者 坂東 昌子(京都大学基礎物理学研究所・協力研究員)
研究課題名: 放射線影響の体系的・定量的解明のための学際的ネットワークと基盤理論の構築
研究期間: 2019年4月1日(または採択日) ~ 2020年3月31日
抄録: 放射線、特に、低線量・低線量率放射線の影響には不明の部分が多く残されている。これまで分子、細胞、個体レベルでの照射実験、ヒトを対象とする疫学調査、コンピュータを用いたシミュレーションなどが行われてきたが、これらさまざまな分野の研究者が互いの研究の理解を深めながら協働することが必要である。また、上記の分野に加えて(ビッグ)データ科学、人工知能などの新たな分野との連携、新たな概念の導入も必要とされている。以上の背景を踏まえ、本研究は放射線、特に、低線量・低線量率放射線影響の体系的、定量的解明に向けた学際的なネットワークと新たな基盤理論の構築を目的とする。

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課題番号:共2019-09

東京工業大学: 研究代表者 松本 義久(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者 島田 幹男(先導原子力研究所・助教)
研究分担者 土屋 尚代(融合理工学系原子核工学コース・博士3年)
研究分担者 服部 佑哉(工学院システム制御系・助教)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 渡邊 立子(量研機構・量子生命・量子細胞システム研究G・上席研究員)
研究課題名: シミュレーションと細胞生物学の融合による低線量・低線量率放射線影響解析
研究期間: 2019年4月1日~ 2020年3月31日(継続:平成30年度開始)
抄録: 低線量・低線量率放射線の影響には、高線量・高線量率放射線の影響と量的のみならず、質的に異なる側面がある。特に、ミクロな空間で見たエネルギー付与分布の不均一性の影響が顕著に現れる。また、低線量率長期照射の場合、DNA損傷生成とDNA修復のバランスによって線量率効果が現れる。さらに、細胞周期進行に伴って放射線感受性が変動することを考慮する必要がある。本研究では、シミュレーションと細胞生物学実験の融合により、低線量・低線量率放射線の細胞生存、ゲノム安定性に与える影響を解析することを目的とする。

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課題番号:共2019-10

東京工業大学: 研究代表者 相樂 洋(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者 中岫 翔(相樂研究室・東工大融合理工学系原子核工学コース・修士2年)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 長谷 竹晃(日本原子力研究開発機構核燃料・バックエンド研究開発部門 核燃料サイクル工学研究所プルトニウム燃料技術開発センター 主査)
研究課題名: 多様な廃棄物内核物質量測定のための簡便で高度な非破壊測定法の研究
研究期間: 2019年採択日 ~ 2020年3月31日
抄録: 世界の核不拡散・核セキュリティ強化は喫緊の課題であり、核物質の適正管理技術として非破壊測定技術開発が強く求められている。本研究では、特に核物質量の測定が困難であるが核不拡散上重要な放射性廃棄物を対象とし、外部放射線源不要ながらも放射性廃棄物自身が発生する放射線を自己問いかけ線源として活用する、高精度と簡便さを併せ持つ非破壊測定手法とそのデータ処理法の開発を行い妥当性を確認した。

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課題番号:共2019-11

東京工業大学: 研究代表者 中瀬 正彦(先導原子力研究所・助教)
研究分担者 岡村 知拓(博士2年)
研究分担者 三成 映理子(博士2年)
相手先(学外)機関名: 研究責任者 西原 健司(日本原子力研究開発機構・核変換システム開発Gr・グループリーダー)
研究分担者 大泉 昭人(日本原子力研究開発機構・核変換システム開発Gr・研究員)
研究課題名: バックエンドプロセスにおける物量評価手法の開発とNMBコードヘの実装
研究期間: 平成31年5月31日~ 令和2年3月31日
抄録: JAEAで開発されている核燃料サイクル(NFC)の諸量解析が可能であるNuclearMaterial Balance(NMB)コードの機能拡張を共同して行った。従来のNMBコードではアクチノイド(An)26核種と核分裂性核種(FP)2種の取り扱いが可能であったが、核種分離技術等を導入した際の廃棄物の減容度や処分場面積削減効果に関する検討まで踏み込んだ諸量計算による原子カシステムシナリオの検討のために、取り扱えるFPの拡張や機能の増強を行った。

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課題番号:共2019-12

東京工業大学: 研究代表者 中瀬 正彦(先導原子力研究所・助教)
研究分担者 青山 友花子(修士2年)
研究分担者 増田 歩(修士1年)
研究分担者(所属): 研究責任者 松村 達郎(日本原子力研究開発機構 分離変換技術開発デイビジョン・グループリーダー)
研究分担者 筒井 菜緒(日本原子力研究開発機構 分離変換技術開発ディビジョン・研究員)
研究課題名: MA分離用配位子の創製と物性評価
研究期間: 平成31年5月31日~ 令和2年3月31日
抄録: 使用済核燃料の高燃焼度化や冷却期間の長期化、MOX燃料の利用などによりマイナーアクチノイド(MA)の分離が重要になる。フェナントロリン骨格にアミド基を二個有する抽出剤について、その側鎖長を変化させた抽出剤を合成し、系統的な抽出実験を行った。併せて単結晶合成、抽出実験、放射光実験などを共同して行い、抽出における溶媒の依存性が明らかとなった。

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課題番号:共2019-13

東京工業大学: 研究代表者 飯尾 俊二(先導原子力研究所・教授)
研究分担者 村山 真道(飯尾研究室 博士課程3年)
研究分担者(所属): 研究責任者 藤澤 彰英(九州大学応用力学研究所・教授)
研究課題名: 自励誘導発電機の過渡特性解明とパルス運転設計手法の提案
研究期間: 2019年6月26日 ~  2020年3月31日
抄録: 自励誘導発電機の設計について、これまでは産業界において一般的に用いられているJEC(電気規格調査会)規格によって定められる誘導機の検査方法及び定常等価回路を用いてモデル計算が行われていた。しかしこの方法では定常状態を前提しており、過渡的な電流波形等を導出されていなかった。そこで本研究では誘導機の状態方程式に着目し、自励キャパシタを接続したときの固有値から自励誘導発電機の過渡特性が推定できることを明らかにした。

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課題番号:共2019-14

東京工業大学: 研究代表者 大貫 敏彦(先導原子力研究所・教授)
研究分担者 中瀬 正彦(先導原子力研究所・助教)
研究分担者(所属): 研究責任者 小室 真保(東京バイオテクノロジー専門学校/教務部・教務部長)
研究分担者 山下 治之(東京バイオテクノロジー専門学校/講師)
研究課題名: セミの抜け殻を利用した元素分布の広域調査
研究期間: 採択日 ~ 2020年3月31日
抄録: 多摩川のように、流域において上水など水利用が行われている河川では廃棄物などによる汚染の防除は必須であり、そのためには水質調査は欠かせない。汚染物質は、流域の土壌中から多摩川に流入することが考えられる。このことは、多摩川流域における土壌中の元素の分布を知ることが、多摩川流域の水質汚染を防除するためには必要不可欠である。本研究では、セミの抜け殻を利用する測定法を提案する。セミの幼虫は数mの深さ位置で樹木の根などから養分を吸収して成長し、樹木の幹上などで羽化する。その際、幹上に抜け殻を残す。抜け殻は幼虫として成長した付近の樹木の幹などに残っていることから、幼虫が成長した位置の特定も容易である。

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課題番号:共2019-15

東京工業大学: 研究代表者 片渕 竜也(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者(所属): 研究責任者 堀 純一(京都大学 複合原子科学研究所・准教授)
研究分担者 高橋 佳之(京都大学 複合原子科学研究所・准教授)
研究課題名: 13Cの中性子捕獲断面積の測定
研究期間: 2019年6月1日 ~ 2020年3月31日
抄録: 炭素の安定同位体13Cの中性子捕獲断面積測定を東工大ペレトロン加速器で行うための検討を行った。実験条件の検討、13C同位体濃縮試料の作製を行った。

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課題番号:共2019-16

東京工業大学: 研究代表者 吉田 克己(先導原子力研究所・准教授)
研究分担者 グバレビッチ アンナ(先導原子力研究所・助教)
研究分担者 笠倉 麻優子(原子核工学コース・修士2年)
研究分担者(所属): 研究責任者 小谷 政規(JAXA航空技術部門. 主任研究開発員)
研究課題名: 電気泳動堆積法による炭化ケイ素繊維への窒化ホウ素界面層形成技術の開発
研究期間: 2019年4月1日~ 2020年3月31日
抄録: 炭化ケイ素(SiC)繊維強化SiC(SiCr/SiC)複合材料は,次世代高信頼性耐熱材料として原子カ・核融合炉分野や航空宇宙分野等での適用が期待されている.本研究では,電気泳動堆積(EPD)法によるSiC/SiC複合材料作製プロセスを軸として,薄片化BN粒子懸濁液の調製及びEPD法によるSiC繊維表面へのBN界面層形成プロセスを検討し,機械的特性に優れるSiC/SiC複合材料の作製に成功した.

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