塚原 剛彦

塚原 剛彦
フューチャーエネルギー部門

職名
教授
電話
03-5734-3067
Eメール
zc.iir.titech.ac.jp
研究室HP
https://tsukahara.zc.iir.titech.ac.jp/

研究の特徴

安全性,経済性に優れた放射性廃棄物処理・処分技術の確立は世界的にも重要な課題です。塚原研究室では、マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、これら廃棄物に含まれる様々な放射性元素(アクチノイド,希少資源であるレアアース・レアメタル等)を極微量・迅速・高効率に分離分析できる新しい化学システムの研究開発を行うと共に、再処理溶液中や地層処分環境中における放射性元素の基礎科学的研究を進めています。

紹介動画

研究の概要

  1. マイクロ・ナノ化学チップによる核種分離分析 ~手のひらサイズの化学工場~
    シンプル,コンパクト,低廃棄物量かつ低被ばく量を満たす新概念の技術「マイクロ・ナノ化学チップ」の研究を進めています。半導体加工技術を駆使して、数センチ角のガラスやシリコン基板上にマイクロ・ナノスケール(10nm ~ 100um)の微小流路を掘り込み、その微小流路内に、まるでコンピュータに用いられる集積回路のように、溶液混合,反応,分離,検出等の様々な化学操作を集積化するものです。髪の毛の太さよりも細いマイクロ・ナノ空間に存在する液体は、通常我々が触れるバルクスケールの空間では見られないユニークな特徴を発現するため、僅か1滴の溶液中に存在する微量のアクチノイド(ウラン等)やレアアースを検出したり、これらの元素を数秒で分離することができます。
  2. 機能性材料(刺激応答性高分子,ナノ粒子)の創製と応用
    機能性材料は、温度,pH,光などの外場の刺激に応答して物理化学的特性を急激に変化させるユニークな材料です。我々は、特定の放射性金属元素を選択的にキャッチ&リリースさせたり、金属元素を内包あるいは固定化させることができる様々な機能性材料を創製する研究を進めており、汚染水の処理(セシウム,ストロンチウム除去)、レアメタル・レアアースの回収、ドラッグデリバリー(DDS)用薬剤調製などへ展開しています。また、ナノ界面領域で起こる分子レベルの現象の解明・制御に取り組んでいます。
  3. 地層処分関連研究
    放射性廃棄物を地層処分するためには、人工・天然バリア材中の間隙水や核種移行挙動を解明することが不可欠です。これは、地下深部では様々な条件(間隙サイズ,材質,温度・圧力等)が複雑に入り乱れており、地下水との接触に伴うバリア材物質(ガラスやベントナイト)の変性、溶解、それに伴う放射性核種の溶出・収着が懸念されるためです。我々は、バリア材環境を模倣した実験装置を組立て、その内部の水や核種の構造・ダイナミクスおよびそれらが関与する化学反応を、分光分析装置を駆使して解析しています。これらの結果を基に、核種移行のメカニズム解明やモデル化およびバリア材の設計指針の新たな提案を目指します。

2012年に発足したばかりの新しい研究室ですが、独自の実験設備が多数あり、チャレンジングな研究を行うことが可能です。化学を基盤としますが、物理・機械系分野から医療応用などの生物系分野とも関係する複合的な研究を行う研究室ですので、分野を問わず歓迎しています。

キーワード

核燃料サイクル,放射性廃棄物地層処分,極微量分析,マイクロ・ナノ化学,レアアース・アクチノイド化学,機能性材料,刺激応答性高分子